高配当銘柄としても人気の高い商社株を徹底比較していきます。
- どこの商社株を買えば良いの?
- そもそも商社の仕事って何?
などが気になっている人には参考になると思いますので、最後までお付き合いください。
特に「高配当銘柄としてはどうなのか?」に焦点を絞り、配当実績から財務状況までをまとめています。
記事を読み終わる頃には購入銘柄が決まっているのではないでしょうか?
個人的には伊藤忠商事(8001)を推していますが、その理由も後述しています。
少し長いですが、ゆっくり読み進めて購入銘柄の検討材料にしてください。
5大総合商社を簡単に紹介
かつては原料や加工品など「商材取引の仲介」を事業の中心としていた総合商社ですが、近年は事業投資や事業経営が収益のメインになっています。
ここでは大手5社と呼ばれる
- 三菱商事(8058)
- 伊藤忠商事(8001)
- 三井物産(8031)
- 住友商事(8053)
- 丸紅(8002)
の簡単な企業概要からまとめていきます。
ちなみにこの5社に豊田通商と双日の2社を加えて大手7社と呼ばれています。
三菱商事(8058)
- 総合商社売上高第1位
- 天然ガス・総合素材等の10事業をグローバルに展開
- 傘下にローソンなど12社の上場企業を持つ
- 複合都市開発部門では福岡空港も運営
- 石油・科学ソリューションとコンシューマー産業、金属資源で売上の半数以上を占める
伊藤忠商事(8001)
- 総合商社売上高第2位
- インフラ建設や国家プロジェクトの参加等により、中国市場で強い地位を確立
- ファミリーマートなど20社以上の上場企業を傘下に持つ
- Doleやプリマハムなどお馴染みの食品も伊藤忠商事
- 食料とエネルギー・化学品で売上の半数以上を占める
三井物産(8031)
- 総合商社売上高第3位
- 金属資源・化学品など7事業をグローバル展開
- 2003年に世界最大の鉄鉱石会社のヴァーレ(ブラジル)にも出資し、資源関連の権益は総合商社最大
- かどや製油などを傘下に持つ
- 化学品と生活産業、エネルギーで売上の半数以上を占める
住友商事(8053)
- 金属・輸送機などの6事業部門をグローバル展開
- 日本最大のケーブルテレビ事業「J:COM」を持ちメディアに強い
- サミットストア・トモズなどを傘下に持つ
- 資源と金属、生活、不動産で売上の半数以上を占める
- 輸送機・建機の割合も多い
丸紅(8002)
- 特に穀物や発電、水ビジネスは商社トップクラス
- エスフーズ・日清オイリオグループを傘下に持つ
- 大手食品卸の国分と提携
- アグリ(農業)だけで売上の半数近くを占める
配当利回りは高め、増配傾向あり
全社3.5%超の配当利回り。三井物産・住友商事・丸紅は4%超
さすが高配当銘柄として人気の商社株ですね。
5大商社の配当利回りは全社3.5%を超えています。
特に三井物産・住友商事・丸紅の3社は、記事作成時点で4%を超えてきているのでタイミング的には良さそうです。
過去3年間で見ると、三菱商事や伊藤忠商事も配当利回り4%が超えている時期もあったので、こまめにチェックしていればより高配当を狙える可能性はありそうです。
三菱商事は6%を超えるようなタイミングもありました。
三菱商事・伊藤忠商事・三井物産はコロナでも減配せず
配当実績については5社とも右肩上がりで推移。
増配傾向にあるので安心して保有することができます。
特に2021年3月期のコロナ・ショックでも減配しなかった三菱商事・伊藤忠商事・三井物産の3社は心強いですね。
配当性向は5社とも水準内
配当性向は、5社とも水準内に収まっています。
が、2022年3月期は各社最高益を出しているために例年より配当性向は低めです。
参考としてコロナ・ショック前の2019年3月期と比較すると三菱商事、伊藤忠商事、三井物産の配当性向が下がっているのがわかりますね。
後述する配当政策も参考に判断していきたいところです。
売上や利益などの財政を比較する
売上高
5社ともにコロナ・ショックを乗り越えて売上高増。
資源価格の高騰で最終利益も過去最高を更新しました。
三菱商事・三井物産は営業キャッシュ・フロー前期からのプラス
三菱商事は営業収入や配当収入の増加により、前期から382億円のプラス。
同じく三井物産も342億円のプラスでした。
住友商事は前期から半減。
営業利益よりも営業CFの方が少ないという状況ですが、これは金融収益や持分方損益によるマイナスです。
伊藤忠商事と丸紅は前期と比べて若干のマイナスでしたが、そもそもプラスで終われていることが重要です。
営業利益率
営業利益率はコロナ・ショックで一時的に下がったものの、2022年3月期は4%~5%に収まってきました。
コロナ前の水準までもう一息といった感じです。
住友物産は過去10年間で見るとほぼ最高。(2013年3月期が最高の5.39%)
丸紅は他社より低い水準で推移していますが、今期の3.34%は過去10年間で最高のパフォーマンスになっています。
一株あたり純利益(EPS)
2022年3月期のEPSは各社過去10年間で最高額を達成しました。
コロナ・ショックの2022年には丸紅が、翌年2021年には住友物産が赤字に。
過去10年以内でみると三菱商事と三井物産も赤字になっています。
それぞれ原油価格の下落などが原因となっているようです。
非資源を軸に置いていた伊藤忠商事は過去10年間は黒字維持で推移しています。
最近では各社ともに市況に左右されにくい非資源分野に力を入れ始めていますので楽しみですね。
借入金と自己資本比率
総合商社の基本的なビジネスモデルは買い手と売り手の仲介です。
その為、商品の販売額は商社の売上にはならず収入は仲介手数料になります。
このようなビジネスモデルなので必然的に借入金は多く自己資本比率は他の業種と比べて低い傾向にあります。
チェックする際は、直近で大きな借り入れがないか?自己資本比率が極端に下がっていないか?に注目しましょう。
今回は特に気にするような事はなさそうですね。
フリー・キャッシュ・フロー(FCF)
数字のチェック項目はこのフリー・キャッシュ・フローで最後です。
2022年3月期のFCFは全社プラスでした。
特に三菱商事、伊藤忠商事、三井物産は前年を超えるFCFでしたね。
直近だと2019年に三井物産のFCFがマイナスになりましたが、これは海外事業への投資が主な原因で、投資キャッシュ・フローが営業キャッシュ・フローを上回った事によるマイナスでした。
FCFは配当金の原資にもなりますので、まずはプラスになっている事が最重要です。
今後の配当政策を確認する
最後に各社の株主還元(配当政策)を簡単にみていきたいと思います。
三菱商事
利益成長に応じて増配を行なっていく方針
2016年から増配し続けていますので、この流れをキープしていって欲しいですね。
伊藤忠商事
2023年度までに配当性向30%を実現する
直近10年間の平均配当性向が26.5%なので配当として株主還元に力を入れていく方針のようです。
三井物産
企業価値向上の為に内部留保を使用する。業績の一部については配当を通じて株主還元をする
配当金の原資でもある内部留保を企業価値向上にとありますので、株価(キャピタルゲイン)の方でも株主還元をしていくという事でしょうか。2018年から増配が続いており、かつ過去10年間の平均配当性向も33.3%の為、配当についても期待できる銘柄だと思います。
住友商事
利益成長による配当額の増加を目指す
2021年3月期は純利益マイナスで終わった住友商事ですが、70円の配当を実施しました。
意見の分かれるところだと思いますが、個人的には簡単に減配されても困るなーと言う感想。
丸紅
連結配当性向25%を下限にする
022年3月期が25.5%なので、これ以上は下げないという事ですね。直近の5年間でも25%付近で推移しています。
どの総合商社株を買うべきか
今回は高配当銘柄として人気の高い大手5社の総合商社について比較してきました。
①各社の概要
②配当実績
③財務状況
④今後の配当政策
と、大きく4つのカテゴリについて見てきましたが、同じ業種内で比較することでかなり頭の中が整理されたのではないでしょうか。
個人的には伊藤忠商事は持っておきたい銘柄かなと感じました。配当利回りがもう少し高くなったタイミングになった時に買いを検討するのはアリなのかなと。
実際には丸紅を除く4社は既に保有している為、無理に買っていく必要もないので、あくまで現在総合商社株を持っていないなら。という前提での話になってしまいますが。
もちろん、比較した上で買わない判断をするのも大アリです。
今回の記事で総合商社株についての悩みが消えました!と言っていただけたら一番嬉しいです。